電波を移動する物体に向けて発射すると、その反射波は物体の移動速度に比例した周波数偏移(元の周波数からのずれ)を受けて戻ってきます。これをドップラ偏移といいます。
ドップラ・レーダは通常のレーダにドップラ偏移測定機能を付加したレーダで、雨域の移動情報を得ることができる気象用ドップラ・レーダ、海面に向けて電波を発射して波浪情報を得る海洋波浪レーダや、航空機に搭載して対地速度を求めるドップラ・レーダなどがあります。
また身近なドップラ・レーダの一種に、Xバンド(10GHz帯)の電波を用いて、車両やボールなど、ある程度高速で移動する物体の速度を測定・表示するスピードガンがあります。
ドップラ効果は、1842年にオーストリアのドップラにより発見されたもので、周波数偏移量をΔf(Hz)、物体の速度をV(m/s)、光速をc(3×108m/s)とすると、
Δf=f×V/(3×108)
となります。
ただし、物体の移動方向が観測者に対して角度θをなす場合は、周波数偏移量はΔf×cosθとなります。 |