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衛星通信には、静止衛星を使用するシステムとして、固定地点間の通信を行う固定衛星通信及び船舶、航空機等、移動体との間の通信を行う移動衛星通信の2つがあります。
また、非静止衛星通信システムには、静止衛星システムと同様に固定通信及び移動体通信があります。
略 史
昭和32年10月(1957) |
スプートニク1号打ち上げ(ソ連) |
昭和37年 (1962) |
テルスター1号(米国) |
昭和39年 (1964) |
シンコム3号(静止衛星、米国) |
昭和52年 (1977) |
気象衛星、実験用通信衛星打ち上げ |
昭和53年 (1978) |
実験用放送衛星打ち上げ |
平成元年 6月(1989) |
JC-SAT打ち上げ |
平成 4年12月(1992) |
スーパーバードA打ち上げ |
平成 7年 8月(1995) |
N-SAT打ち上げ |
平成12年10月(2000) |
N-STAR−110°打ち上げ
スーパーバードD号機打ち上げ |
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(1)現在使用されている主な日本の通信衛星と放送衛星
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(衛星名の後の数字は静止経度(東経)を表す。また、図中の各衛星の経度角は、正確な角度に作図されていない。) |
ア 通信衛星
項目 |
N-STARb
(NTT) |
J-SAT2A |
スーパー
バードB2 |
インテル
サット9号 |
インマル
サット(3F3) |
静止経度 |
136°E |
154°E |
162°E |
62°E |
178°E
64.5°E |
形状 |
3軸型 |
3軸型 |
3軸型 |
3軸型 |
3軸型 |
重量 |
2,000kg |
1,460kg |
2,500kg |
4,726kg |
1,380kg |
太陽電池出力 |
5kW |
3.6kW |
5.7kW |
7kW |
2.3kW |
衛星寿命 |
10年 |
11年 |
13年 |
13年 |
(不明) |
中継機の
周波数帯と
(台数) |
Ka (11)
Ku(8)
C (6)
S (1) |
Ku(16)
C (16) |
Ku(23)
Ka (6) |
C (44)
Ku (12) |
L
1000ch |
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イ 放送衛星
項目 |
BSAT−110 |
N−SAT−110
(放送) |
JCSAT−3
受託放送 |
SUPERBIRD−C
受託放送
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静止経度 |
110°E |
110°E |
128°E |
144°E |
形状 |
スピン |
3軸型 |
3軸型 |
3軸型 |
重量 |
720kg |
2,100kg |
1,800kg |
1,500kg |
太陽電池出力 |
980W |
7.2kW |
5.2kW |
4.3kW |
衛星寿命 |
10年 |
15年 |
12年 |
13年 |
中継機の
周波数帯と
(台数) |
Ku(4) |
Ku(32) |
Ku (28)
C (12) |
Ku (24) |
出力 |
106W |
120W |
75W |
90W |
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ウ 衛星通信の特徴
・ サービスエリア内では多数の地点で回線が設定できる(広域性・柔軟性)。
・ 災害時にネットワークの確保が容易である(耐災害性)。
・ 大容量の情報が伝送できる(大容量性)。
(2)衛星通信事業者と所有する衛星
@ 日本電信電話株式会社(N-SAT) (海上における沿岸無線電話の展示コーナ参照)
A (株)日本サテライトシステムズ(JCSAT)
B 宇宙通信(株)(スーパーバード)
○ 移動する地球局
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写真は、通信衛星の端末(移動地球局)です。 |
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(3)静止衛星のシステム概要
静止衛星通信は、赤道上空3万6千kmの静止軌道上に打ち上げられた人工衛星を利用して行う通信です。静止衛星は、公転周期が地球の自転周期23時間56分4秒に等しく、軌道傾斜角が0度の円軌道上にあるため、地上から見て静止した状態にあるので、通信や放送に利用するのに便利です。
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ア |
固定地点間通信に用いられる静止衛星としては、N−STAR、JC−SAT、スーパーバード、インテルサット衛星等があります。 |
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固定地点間を結ぶ通信システム |
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イ |
静止衛星を利用した移動通信には、N−STAR、インマルサット等があります。 |
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移動局相互間を結ぶ通信システム |
(4)周回衛星
周回衛星は、静止軌道以外の軌道を回る衛星です。
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ア |
固定通信に用いられる周回衛星としては、テレデシック衛星があります。 |
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周回衛星を利用した固定地点間通信 |
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イ |
移動通信に用いられる周回衛星としては、イリジュウム、オデッセイ、グローバルスター、ICO、オーブコム等があります。 |
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周回衛星を利用した移動通信 |
(5)人工衛星の形状及び代表例
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スピン安定方式衛星(BSAT-1a、1b、ひまわり)
人工衛星の本体をコマのように回転させることによって衛星の姿勢を安定させる方式の一例を示す。
この方式は、信頼度の高い方式ですが、太陽電池の面積を大きく出来ないため、多量の電力が得られない難点があります。 |
三軸姿勢制御衛星(N-STAR、JCSAT、スーパーバード、インテルサット、インマルサット等)
人工衛星の三軸(縦、横、高さの方向)それぞれの姿勢誤差を計測する姿勢センサーやジャイロを設置し、姿勢の乱れに応じてガスジェットや比較的小型のホイールなどで姿勢を制御・安定させる方式です。
太陽電池のパネルを大きくでき、大きな電力を得ることが可能です。
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