◆能動素子
電源を接続すると増幅や変換などの動作を行う素子。

  真空管 :  二極真空管は単に整流だけなので、受動素子ですが、三極真空管は増幅、発振作用をもつので能動素子になります。

  トランジスタ:  3つの端子をもつ半導体で、電流増幅作用をもちます。

  LSI,VLSI:  半導体能動素子と各種受動素子で構成される電子回路を、小さい体積の中に高い集積度をもって組み込み、高度な機能を持たせた回路単体をLSI(大規模集積回路、Large Scale Integrated Circuit)といい、さらに集積度の高いものをVLSI(超LSI、Very Large Scale Integrated Circuit)といいます。

【共振回路】
 コイルLとコンデンサCとを直列にまたは並列に接続し、LとCによる共振現象を利用して、特定の周波数の信号を増幅または抽出するための回路を共振回路または同調回路といいます。共振の電気的な意味は、Lには電流が作る磁場のエネルギーが貯えられ、Cには電荷が作る電場のエネルギーが貯えられ、この二つが交互にエネルギーのやりとりをしながら、角周波数ω(周波数fの2π倍)で振動するのが共振です。

  [ 直列共振 ]
 
   図のようにコイルL(ヘンリー)とコンデンサC(ファラッド)とを直列にして、周波数f(ヘルツ)の交流電源Eに接続します。実際にはコイルLは抵抗を、また電源は内部抵抗を持っているので、それらをまとめて表したのがR(オーム)です。電源Eの角周波数ω(2πf)が低いときは、Lのリアクタンス(コイルが電流を妨げる度合いで、ωLで表されます)は小さいですが、Cのリアクタンス(コンデンサが電流を妨げる度合いで、1/ωCで表されます)は大きいので、回路電流はあまり流れません。一方ωが大きいと、Cのリアクタンスは小さくなりますが、Lのリアクタンスが大きくなるので回路電流はあまり流れません。今もしωを、LとCのリアクタンスが等しくなるような値に選んだ(ωL=1/ωC)とすると、LとCを流れる電流は互いに逆位相(L内の電流はEより90度位相が遅れ、C内の電流はEより90度位相が進んでいる)で振幅が等しいので打ち消し合い、その結果、回路にはLもCもないとしたときと同じ電流E/Rが流れます。Rが小さければ非常に大きな電流がLとCの中を流れるので、それぞれの素子の両端には大きな電圧が発生します。これが直列共振です。その効果を利用して電波を強く受けることができます。具体的な例を挙げると、E = 10V、R = 10Ω、 L = 51μH、C = 500pF、f= 1MHzの時、直列共振の状態になり、LとCの両端に320ボルトの電圧が発生します。このように回路条件によっては、電源電圧より大きな電圧がLまたはCの両端に生じます。


  [ 並列共振 ]
 
   図のようにコイルLとコンデンサCを並列にし、抵抗Rと直列にした回路を電源Eに接続した場合を考えます。このRは、直列共振と同様にLのもつ抵抗と電源の内部抵抗との和です。また、各素子の値と周波数は上述の直列共振と同じ値とします。LとCの中を流れる電流は互いに逆位相で振幅が等しいので、外部回路と関係なくLとCの中だけで電流は流れ続けます(実際にはLは抵抗を持っているので、流れ続けることはありません)。従って周波数fの電圧はそのまま図の右側に出力され、それ以外の周波数の電流はLとCの中を流れるため、図の右側への出力電圧は、並列回路とは無関係に小さくなります。すなわち並列共振回路はfだけを選択するフィルタ(濾波器)の役割を果たします。並列共振同調回路は、特定の周波数のみを選んで増幅し、また近接周波数の混信を排除するのに非常に効果的な回路です。

 

  [ 同調周波数 ]
 

 インダクタンスLと静電容量Cとからなる直列または並列回路に同調する周波数は次式で与えられます。

 この関係を、中波ラジオの周波数帯に当てはめ、コイルのインダクタンスをμH(マイクロヘンリ、H×10-6)とコンデンサの静電容量をpF(ピコファラッド、C×10-12)のような実際使う値に変換して示したのが下図です。
 例えば、300μHのコイルと並列に、市販されているバリコン(可変コンデンサ、最大容量約300pF)をつなぐと、中波ラジオの周波数帯(531-1602kHz)にほぼ同調することが分かります。

 
中波ラジオ周波数帯に同調するLC