ヘルツ(1857-1894)は、ドイツのカールスルーエ工科大学で、1886年から1887年にかけて実験を行い、電波の存在を証明しました(1888)。
 自然界には昔から静電気や雷の放電がありましたが、それらが電波を出していることは誰も知りませんでした。ヘルツは、最初は、ライデン瓶を使って火花放電を起こし、それからの電波を受けて、電波が本当に存在する事を証明したのです。

電波の発見者へルツ像


 ヘルツが最初に行った実験では、ライデン瓶に貯めた電荷を一つの渦巻きコイルの端子間で放電させると、傍らにあったもう一つの渦巻きコイルの端子間で小さな火花が飛ぶのに気がつきました。この二つのコイル間に伝わったものこそ、マクスウェルスが予見した電磁波であると思い、実験を重ねた結果、電磁波の持つ性質を明らかにしました。

 ヘルツが電波を発生させるために考案したアンテナは、数ミリの間隔をあけた二つの小球の両側に2本の導線を伸ばした構造で、実際の寸法は、右図下のように、導線の長さ約2m、内側の球の直径約2cm、外側の球の直径約30cmです。
ヘルツが実験に用いた各種アンテナ
(ドイツ博物館)


 受信には、右図のように、銅線を四角に曲げて1回巻きのループとし、線の両端に飛ぶ火花を拡大鏡でのぞいたのです。この受信アンテナに共振する周波数は、約60MHzでした。
ルーぺ付きの方形受信アンテナ
(縦46cm、横45cm)