アマチュア無線は、金銭上の利益のためでなく、個人的な趣味として、無線技術に興味を持つ者が実際に電波を発射して国内外のアマチュア無線家と交信したり、通信をするための無線機器を作ったりする楽しみがあります。
 アマチュア無線は科学的な理解力と技術向上、知恵と能力の開発やアイデアを生み出すことに効果があることが実証されています。
 一方、市民レベルでの国際交流活動や地震津波など災害時の非常通信にも寄与しています。

アマチュア無線のシステムの例


アマチュア無線システムの概要

 電信、電話、画像、データ、衛星通信等全ての通信の方式が使われています。

略 史

明治34年  (1901) マルコーニが大西洋横断無線電信の実験に成功
大正元年  (1912) アメリカで無線法ができ、アマチュアの実験は1,500kHz以上の周波数が使用可能
大正14年 4月(1925) 国際アマチュア無線連合(IARU)創立
大正15年 6月(1926) 日本アマチュア無線連盟(JARL)設立(盟友37名)
昭和 2年 9月(1927) 草間貫吉(JXAX)が初のアマチュア無線局の免許を取得
昭和 4年 1月(1929) アマチュア無線の規定が確立され、呼出符号を付与
昭和 9年 3月(1934) 函館大火で橋本数太郎(J7CB)により、わが国初のアマチュアによる非常通信実施
昭和16年12月(1941) 太平洋戦争開戦と同時に私設実験局の運用禁止
昭和25年 6月(1950) 電波法施行
昭和26年 6月(1951) 第1回目のアマチュア無線技士従事者免許の国家試験実施
昭和27年 7月(1952) JA1AAを初めとする30名に予備免許がおりる、アマチュア無線再開
昭和33年 5月(1958) 電信級及び電話級アマチュア無線技士の資格が新設
昭和34年12月(1959) JARL、社団法人として認可
昭和36年12月(1961) 世界初の(米)アマチュア衛星「オスカー1号」打ち上げ成功
昭和45年 3月(1970) 日本初の特別記念局(JA3XPO)が大阪万国博覧会で免許
昭和57年 3月(1982) レピータ局(アマチュア局の中継用無線局)の開設が認められ、JR1WAが免許
昭和57年 7月(1982) アマチュア無線技士の操作範囲が改正され、電信級、電話級の資格者にも画像通信、データ通信が許可
昭和61年 8月(1986) 日本初のアマチュア衛星「ふじ」打ち上げ成功
平成 2年 2月(1990) アマチュア衛星「ふじ2号」打ち上げ。無線従事者の資格制度が改正され、電信級が3級、電話級が4級になる
平成 8年 4月(1996) 2級〜4級アマチュア無線技士の操作できる空中線電力が引き上げられる
平成 8年 8月(1996) アマチュア衛星「JAS-2」(日)打ち上げ成功
平成10年 5月(1998) アマチュア無線の公衆通信網への接続(フォーンパッチ)が許可制度導入
平成12年 3月(2000) 国際宇宙ステーションのアマチュア無線局との通信に小・中学生の無資格操作が可能となる
平成16年 2月(2004) アマチュア無線のデジタル通信方式(D-STAR)の運用開始


(1) アマチュア無線局

○ 移動しない局


○ 移動する局
  (短波帯から極超短波帯までを装備した車載局で伝搬状態が良い時は海外交信も可能)


(2) アマチュア無線用の各種無線機器

アマチュア無線用送信機
「船舶用無線機をアマチュア用に改造したもの」
携帯型の無線機
(軍用無線機をアマチュア用に改造したもの)


送受信機の例 真空管を使用した受信機の例


短波帯と超短波帯送受信機を内蔵した
超高級無線機
超短波/極超短波送受信機


携帯型送受信機


自作の短波送信機 自作の短波受信機


(3) アマチュア無線のネットワーク

 アマチュア無線局の通信の相手方は、日本のアマチュア無線局(約65万局)とだけでなく、世界のどこの国のアマチュア無線局(おおよそ210万局)とでも通信することができます。また外国に行ってアマチュア無線局を運用することが可能な場合もあります。

○ 海外との交流
   次の写真は、海外のアマチュア無線局との交信、海外において合同でアマチュア無線局を開設して運用、国際親善や技術指導協力などのアマチュア無線の活動状況です。
 また、04年の12月 インド洋のアンダマン島でアマチュア無線の活動中にスマトラ沖地震に遭遇し、その津波災害を察知して直ちに非常通信を実施した事例もあります。
 


○ アンダマンでの出来事
   アマチュア無線家は世界各地にいますが、アマチュア無線局数が少なかったり普段はアマチュア無線が許可されない地域があります。
 そのようなところへ出かけて運用することをDXぺディションといいます。
 以下に紹介するのは、たまたま地震災害に遭遇して非常通信を行ったインドのアマチュア無線家からの報告です。
 

 

 私達5名のアマチュア無線家に2004年12月3日から31日までの期間、アンダマン諸島へのDXぺディションの許可が下りた。
 メンバーは飛行機と船で夫々現地Port Blair に到着して合流した。
 DXぺディションで世界中から呼んでくる多くの局を相手にドッグパイルアップ(犬が餌に群がってくるような状況)をさばくのは、楽しいことだった。
 12月3日の早朝から12月26日まで私は毎日3〜4時間の睡眠時間で約23,000局と交信した。
 12月26日のあの地震と津波が起こるまでにメンバー全員の総交信局数は35,000局に達した。
 26日の早朝、まだ皆が眠っている時間にも私はインドネシアの局と交信を続けていた。6時29分突然激しい揺れを感じ、マイクに向かって“地震だ”と叫び、部屋を出て他の宿泊者を起こして回った。皆外へ飛び出しホテルの芝生に集り全員の無事を確認した。
 私は地震による被害の大きさを予測したので、DXぺディションの交信を中止してアンテナのビーム方向をインド本土へ向けた。
 我々は連日本土と被災地との数多くのメッセージを取り扱った。
 被害を受けた島々に居る友人や家族の安否を心配するインドやその他の国の人々にとって、我々の無線が唯一の通信手段だった。
 我々はAndaman Nicobar島にDXぺディションに行ったのであるが、状況は我々を非常通信へと導いた。
 AP通信、ワシントンポスト等のメディアがアマチュア無線の社会への必要性を証明し、そして認めてくれた。
 アマチュア無線が役に立ったことを大きく認めてくれたことに感謝する。
 そして人々の心を一つにするというアマチュア無線の可能性を再認識した。
 Port Blair滞在中支えてくれた全てのメンバーを誇りに思っている。
 災害で亡くなった人々の魂と共に私はPort Blairを後にしたのである。

                                   Bharathi 記


【参考】

 次の写真は、スマトラ沖地震の津波によるスリランカでの被災状況です。




アマチュア無線従事者操作範囲
資格
操作範囲
空中線電力
備考

第1級アマチュア無線技士

全バンド 制限なし (実質1kW以下)
第2級アマチュア無線技士 全バンド 200W以下  
第3級アマチュア無線技士 8MHz以下
18MHz以上
50W以下  
第4級アマチュア無線技士 8MHz以下
21MHz以上
20W以下
(21MHz-30MHzまで又は
8MHz以下については10W以下)
モールス不可